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 「自分の将来を見据えて」               藤枝市立総合病院院長 毛利 博

  これまでは学生生活を謳歌していたでしょうが、医学部の卒業を目前にしてこれからの将来についていろいろと悩んでいると思います。診療科の選択については、今後初期臨床研修を行っていくなかで最終的な決定をすればいいと思いますが、少なくとも内科系か外科系に進むかは決めておくべきです。最終的な診療科の選択については、研修医の間に興味のある診療科で研修をおこない、診療をおこなって苦痛を感じないところであれば基本的には大丈夫だと思います。

  私の体験談を少しお話しします。横浜市立大学での学生時代には内科系に進もうという漠然とした考えはありましたが、具体的にどの診療科にするかについては全く考えていませんでした。ただ、当時の大学病院での研修に飽き足らず、漠然と循環器に興味があったため日野原重明先生がおられる聖路加国際病院の内科レジデントの試験を受け、幸い合格し医師としての仕事が始まりました。そこでは内科全般を学びましたが、偶然に白血病患者の担当となったときに、白血病は助からない病気であり、主治医になりたくないと思っていましたが、運命の悪戯か主治医になり、幸い治療が奏功した経験がありました。その時に、「白血病も良くなることがあるのだ」との大きな驚きとともに感動し、指導する先生にも恵まれて血液内科を選びました。なぜそのときに血液内科を選んだのかと考えると、良き指導者と良き患者との出会いにあったように思います。諸君も、良き指導者、良き患者に巡り合えればいいですね。その後、昭和大学、横浜市立大学、慶応義塾大学、東海大学にて、診療・研究・教育に勤しみました。その間に米国にあるスクリップス研究所に留学し、研究の面白さ、失敗のなかに新たな発見をする喜びを学びました。

  聖路加国際病院を除くと実に30年近く大学での生活を過ごしました。その後、縁あって藤枝市立総合病院に勤務するようになりました。人生は自分の思う通りにはなりませんが、人との出会いを大切にすることによりお互いに助け合うことが多々あります。自分一人ではなにもできず、お互いに支えあう気持ちを常にもって仕事をしていってほしいと思います。ひとつのところで仕事をするのもいいですが、私個人としては他流試合ができるような実力を備えてほしいものです。

  何らかの参考になればと思い、私が大学にいた頃に学生たちに話したことをお話しします。まず、人生は長いようで短いので、しっかりと人生設計をすることが大切です。医師として働ける期間は30年ほどしかありません。そこで、医学部に在籍中に少なくとも先ほども述べたように内科系か外科系のどちらに進みたいのかをはっきりさせておいたほうがよいと思います。その上で、研修期間中にどの診療科を回るかを決めるべきです。すなわち、研修期間中の2年間でジェネラリストとしての内科あるいは外科を学び、その後の3年間でそのなかの専門の診療科を選びサブスペシャリストの育成を目指します。私の場合は、内科を2年間で研修し、その後血液内科を選択しました。ここまでで5年の歳月が経ってしまいます。その後の5年間でさらに専門性を追求していきます(スペシャリストの育成)。ここで、基礎あるいは臨床研究を行える土台を形成します。この10年間の間に専門医あるいは博士号などの取得をしていきます。この10年経った時点で自己評価を行い、今後の進路を決めればいいのではないかと思います。

  進むべき道として大きく3つあるのではないでしょうか。すなわち、@教授で代表される研究や医学生の教育をおこなう、A臨床病院で最新の医療をおこなう、あるいはB開業を代表とした地域医療に貢献する、のいずれかを選ばなければならなくなります。ただし、これらは自分が望んだから全てかなうというわけではありませんが、しっかりと方向性をもって進んでいくべきだと感じています。そのなかで、私たちが情報提供とともに一緒になって諸君の進むべき方向性を出していきたいと考えています。

  大学病院、臨床病院それぞれに長所、短所があります。自分がこれからどのような医師像を描いているのかで選択は大きく変わっていきます。それぞれがお互いにいい意味で利用しあいながら、切磋琢磨して皆さんが医師として大成できればこれに勝る喜びはありません。くれぐれも根なし草にならないようにしていただきたいと思います。

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